同盟軍も帝国軍も各艦隊の司令官はベテランぞろいなので、多いほうが包囲しようとして、少ないほうがこりゃ撤退だろってなるごく自然な話。
で、一方の若造がこれは絶対いけると思い、もう一方の若造はいやいやこれヤバくねと思って、それぞれ動いたというのが、この戦いの流れ。
第2艦隊のヤンはラインハルトを以前より知るため他の選択肢を取る可能性を考慮して進言、第6艦隊のラップはどの時点からか不明だが、帝国軍が予想地点にいない時点で各個撃破に動いたと判断して進言するも、それぞれ受け入れられず。
帝国のラインハルトも麾下の提督に作戦要綱を説明するも机上の空論として受け入れられず。
結果は、権限が強いほうの若造が強引に進めて、帝国の勝利となる。
でも帝国の勝利は別に思い付きや先入観が無いからではなく、そもそも同盟は最初から正面二個艦隊、後方遮断に一個艦隊の配置(ヤンの案で戦力配置が逆のパターン)ならこの大敗は無い。二倍の兵力なので包囲殲滅と欲を出したのが敗戦の最大要因で、過去の作戦を再現しようとした艦隊行動が、ラインハルトに読まれてしまった。
なお正面に数の少ない第4艦隊だったのは関係なく、分散して距離がほぼ同じため、他の同盟艦隊が戦力が少なければ帝国艦隊はそちらに向かっただけ。第4艦隊との戦闘後に次に少ない第6艦隊に向かったのがその証拠。
また戦場でも初戦はファーレンハイト艦隊、次はメルカッツ艦隊と先陣を任せる艦隊を入れ替えて戦闘能力の維持し、初戦と次戦ともに戦闘を早々に切り上げて次の戦闘に備える配慮など、帝国は三個艦隊との連戦を想定した行動を隙なくこなして勝つ要因を積み上げ、同盟は作戦立案時の問題点を戦場で修正できなかったため、二個艦隊が壊滅した。
それにしてもこの会戦でラインハルトに対する先入観を無くしたメルカッツとファーレンハイトの間に後々もドラマがあって個人的には好きだったりします。
あと、ラップは戦術的センスを見せるも戦死する。同期で話がわかり有能な彼が死んだことで、ヤンはこれ以降の戦いで自分の代りとなる者を結局見つけられずに、孤軍奮闘する。後々「キルヒアイスが生きていたら」と思われたくらい、ラップの死はヤンにとって痛手で「ジャンが生きていたらのんびり昼寝できたのに。」などと思っていたかもしれません。