歴史に名を残し損ねた男

 銀英伝には目立ちはしたもののすぐに消え去った者は沢山います。少しだけ登場して後は名前が出ない者や、すぐに戦死してその後の出番は無い者です。

 無論、赤毛ののっぽさんのように二巻までの登場で名を残し、その後も作中で名前が記され、登場人物の口にものぼると言う有能・良キャラや、同じく二巻までの登場と思いきや、後半でも登場して名を残したフォーク准将という無能・ワースト代表もいます。

 

 そしてもし生きていれば大舞台で活躍もしくは華々しく散れた男が、グエン・バン・ヒューです。

 

 第十三艦隊がイゼルローン駐留艦隊として再編された際に着任したと思われ、アッテンボローとともに分艦隊司令官になりました。この時点で疲弊した同盟軍でも次代を担う提督としてのポジションにいたと思われます。

 ドーリア星域会戦では先陣を任せられ第十一艦隊の分断に成功しており、第八次イゼルローン攻略戦においてもケンプとミュラーの艦隊に打撃を与えてます。

 もしこのままヤンの配下に居れば、ヤン艦隊の矛として活躍し、バーミリオン星域会戦では派手に戦死するか生き残ってヤン不正規艦隊の豪快担当で、今よりもずっと人気が出たかもしれません。

 

 しかし不用意な追撃戦で戦死した結果、二巻で退場して帝国の双璧の引き立て役とヤンのユリアンへの説教ネタにされるというオチでした。

 

 ビッテンフェルトと比較すると、猪さんが持つ戦術上の見識や意外とある思慮深さが欠けており、単なる引き立て役になってしまいましたが、ヤンの配下として成長すればアッテンボローとは違った分艦隊司令官としてヤンの戦術に幅が広がったかもしれませんね。