赤毛の親友は前半二割で去ったのに、最後まで登場する苦労人。

 キルヒアイスは作品前半でお亡くなりになりましたが、その後も作中で名前が度々出てきます。


 同盟遠征時の謀略の一環で大義名分を手に入れるために部下を殺す(自死させる)ことになったラインハルトは、キルヒアイスならこんなことは許さないと考えます。
 後でヒルダに痛烈に指摘されてますが。

 

 帝国軍がフェザーンを占領した時に、ラインハルトはフェザーンが持つ同盟の星系図を入手します。ここで彼は独語します。
「行こうか、キルヒアイス。俺とお前の、宇宙を手に入れるために」と。
 その様子をヒルダは心配していましたが。

 

 そして同盟崩壊後にヤンが立て籠ったイゼルローンを攻略しきれないラインハルトが、夢で彼を諫めたキルヒアイスに呟きます。
「アイツは死んでまで俺に意見する……」と。
 聞いたヒルダはドン引きでしたが。

 

 ヒルダがキルヒアイスの役割を何割か担っているのは間違いないのですが、またまだ小娘と呼ばれる世代なのに結構なポジションにいて覇者(も若過ぎるのですが)のメンタルケアを担当するとか大変です。だからこその「キルヒアイスが生きていれば」なんでしょう。

 まあ他の人も「生きていれば」と何度となく思い口にし、ついでに彼の死の原因の一人であるオーベルシュタインを反感を持ったりします。
 特に提督達の中でもミッターマイヤーを筆頭に、配下になった経験があるワーレンやルッツ、直属の部下であったベルゲングリューンやビューローもそうですね。
 他にも同盟のヤンが、一度しか会ったことのないキルヒアイスを、存命していれば和平の架け橋になってくれたかもと評していたり。

 

 しかしボリス・コーネフの「いい人間は長生きできない」との感想がそのまま第二巻後半最後のそして作品最大の衝撃になるとは思いもしませんでしたね。