ヤン艦隊の軌跡と奇跡

 自由惑星同盟の末期、同盟側の武勲はヤン提督率いる宇宙艦隊『ヤン艦隊』が独占するものとなってました。

ヤン艦隊戦果
 要塞奪取2回(第7次・第10次イゼルローン攻防戦でイゼルローン要塞奪取)

 重要拠点攻略1回(ハイネセン進攻でアルテミスの首飾り破壊)

 要塞破壊1回(第8次イゼルローン攻防戦でガイエスブルク要塞破壊)

 艦隊撃退及び殲滅13回
 ・第7次イゼルローン攻略戦 帝国軍駐留艦隊(ゼークト大将)
 ・アムリッツア会戦 ビュッテンフェルト艦隊
 ・ドーリア星域会戦 同盟軍第11艦隊(ルグランジュ中将)
 ・第8次イゼルローン攻防戦 ケンプ艦隊、ミュラー艦隊
 ・第9次イゼルローン攻防戦 レンネンカンプ艦隊
 ・ライガール・トリプラ両星域の会戦 シュタインメッツ艦隊、レンネンカンプ艦隊
 ・タッシリ星域会戦 ワーレン艦隊
 ・バーミリオン会戦 ラインハルト艦隊
 ・回廊の戦い ビュッテンフェルト艦隊、ファーレンハイト艦隊、シュタインメッツ艦隊

 この戦果は当然ヤン艦隊の強さを表しますが、同時にヤン艦隊が常に精強な艦隊では無かった点もこの戦果の際立ったところです。

第13艦隊及びヤン艦隊の編成状況
・第13艦隊創設時 アスターテで敗北した第4・第6艦隊の残存部隊+新兵の半個艦隊
・帝国侵攻作戦時 第2艦隊の残存兵力を加えて一個艦隊編成に
イゼルローン要塞駐留艦隊(ヤン艦隊)創設時 第10・第13艦隊を合して設立
・同盟クーデター後 ベテラン兵を引き抜き、同数の新兵を補充
・バーミリオン会戦前 第14・第15艦隊(モートン・カールセン)の残存兵力が合流
・第10次イゼルローン攻防戦時 流浪艦隊+同盟離脱者の混成艦隊
・回廊の戦い直前 3割強の艦船が要修理か要整備、2割強が新兵

 最初から敗残兵や新兵を寄せ集めから出発しており、常に満足のいく兵力補充が出来ないままで戦い続けています。反面、司令部は第13艦隊やヤン艦隊結成時からのメンバーで、戦艦ヒューベリオンや戦艦ユリシーズなど殆どの作戦に参加した艦もあり、ヤン艦隊の質を彼らが支え続けていました。そして何より兵士達のヤンへの信頼により最高レベルの士気を保っていたのも理由となります。

 この兵の質(弱兵)を司令官への信頼(信仰)で補い士気を保つという、ヤンが聞いたら心底嫌な顔する状態がヤン艦隊の強さという皮肉。
 ヤンの好むと好まざるとに関わらず、武断的独裁者か宗教創設者の立ち位置です。あ、もっと最適な言葉があります。

 『英雄』です。

 なお損害は少ないのも特徴です。

 ・第7次イゼルローン攻略戦 損害無し
 ・前哨戦 ケンプ艦隊+キルヒアイス艦隊 艦隊の1割を損失
 ・アムリッツア会戦 艦隊の3割弱を損失
 ・ドーリア星域会戦 軽微
 ・第8次イゼルローン攻防戦 グエン分艦隊壊滅
 ・第9次イゼルローン攻防戦 軽微
 ・ライガール・トリプラ両星域の会戦 軽微
 ・タッシリ星域会戦 軽微
 ・バーミリオン会戦 損傷艦81%、死傷率73%
 ・回廊の戦い 損害不明、かなりの損害あるも艦隊の維持はできる程度

 アスターテ以前からも数々の戦闘に参加していましたが、艦隊司令官になってからは責任も重く、こうしてリスト化すると自由惑星同盟の命運をかけた戦いも幾度もあり「年金」とか「休暇」とか少しくらい口にしてもいいのではと思います。

 英雄には似つかわしくありませんが。

 同盟軍の歴史に燦然と輝く、第13艦隊とヤン艦隊の軌跡。それは奇跡に彩られた伝説に相応しい戦果を持ってました。