銀河英雄伝説は予算や経費や給与の話題で同盟のディナールや帝国の帝国マルクが登場しますが、端々で出て来るのみで銀河の経済規模にいたっては不明な部分が多いです。
それでも探すとキーワードとしては下記があります
- キルヒアイスの父親は司法省務めの下級官吏で年俸4万帝国マルク
⇒庭付き一戸建てだが贅沢はできない - 帝国元帥になると年間250万帝国マルクの終身年金が付く
⇒帝国軍全体で数人の元帥職のため、かなりの高額 - 元財務尚書で不正蓄財したカストロプ公の領地財産は5千億帝国マルク
⇒高位の帝国貴族が感嘆する金額 - ペクニッツ子爵がかかえる民事訴訟の象牙細工の代金は7万5千帝国マルク
⇒払いたくないのか払えないのか不明だが趣味人で生産性のない貴族の借金
これらの情報をもとに、1帝国マルク=150円(2022年1ユーロをベース)で換算すると下記となります。
- 下級官吏の年俸4万帝国マルクは6百万円
- 元帥の終身年金、年250万帝国マルクは3億7500万円
- 恒星系を所有する公爵家の財産5千億帝国マルクは75兆円
- 貴族が求める水準の象牙細工の代金7万5千帝国マルクは1千125万円
何となく辻褄が合いそうな金額ではないでしょうか。
同盟になると下記情報があります。
- アスターテ会戦での遺族年金が100億ディナール
- アスターテの戦死者は1,509,800人のため、上記から年金は平均6,623ディナール
- 帝国侵攻作戦の戦費が2千億ディナールで国家予算の5.40%、軍事予算の11.00%
- 上記から国家予算は3兆7千億ディナール、軍事予算は1兆8千億ディナール
遺族年金を日本円換算で330万円として、1ディナール=500円とすると下記の費用感となります。
1ディナールの円換算は議論の余地がありますが、恒星系国家の連合体である自由惑星同盟の予算規模ならこの程度はありかと考えます(各恒星系国家の予算や各都市の予算も考えると、同盟全体ではこの2倍以上の予算規模を持つ)。
またポイントは自由惑星同盟は軍事予算が国家予算の半分を占める国家という点です。まさに戦時体制国家で、軍需産業の支持や支援があるトリューニヒトの基盤が強固だというのも頷けます。そして周りに人が群がり利権集団となるのも自然です。
建国の父アーレ・ハイネセンの理想とは百万光年離れたトリューニヒト政権を生み出したは、民主主義を掲げて専制主義を否定=戦争一択とした大多数の同盟市民というのが辛辣ですね。
なおユリアンがフェザーンで買い物したセーターは90フェザーン・マルク。彼の感覚で高い買い物感があったとして、1帝国マルク換算で1万3,500円(裏通りの衣料店)ならレートは妥当ではないでしょうか。
作品中では経済について余り詳しく描かれておりません。それでも情報を集めて算出した数字から、何となくイメージがつかめたのではないかと思います。