雷神の槌(トゥールハンマー)に関する一考察

 イゼルローン要塞の主砲である出力9億2400万メガワットのビーム砲「トゥールハンマー」は、絶大な威力を誇り、艦艇の防御など意に返さず直撃を受ければ戦艦も蒸発するほどです。

 原作では巨大砲、映像作品では複数の出力装置を一点に集約しての砲撃や大規模なエネルギー放出装置で表現されております。

 さてこの出力9億2400万メガワットの主砲ですが、一部の界隈では大したことなくね、との話があります。

 10秒照射のエネルギー換算(9.24PJ)でMT級の核兵器程度と計算されてます。巨大戦艦を蒸発させるという表現からはそれほど逸脱してはいません。それでも一回の発射で艦艇数百隻が消し飛ぶまでに至るかといえば、確かに疑問です。

 そこで原作の記述を再確認します。まず第一に「要塞主砲群」との表記があります。群です。つまり複数です。(徳間ノベル版の挿絵では複数の砲塔から発射されています)

 発射する時も「砲手たち」がスイッチを押しています。

 一門の出力が9億2400万MWの要塞主砲をトゥールハンマーと呼び、複数設置されたトール・ハンマーの一号基から十数号基が一斉に砲撃することで、圧倒的質量感の光の柱が可能となると考えるのはいかがでしょうか。

 直径60kmの要塞なら一基が旗艦級の戦艦よりも巨大な砲を複数設置可能です。

 ガイエスブルク要塞を参考に12門だとすると、円形に並んだ砲塔から合計110億MWで斉射される盛大な花火は、戦艦の防御力でも対応不可能となり、10秒ほどの照射時間で数百隻が蒸発するのも無茶ではありません。

 なおこれを支える核融合炉となると、とんでもない出力が必要です。チャージによる溜めが可能だとしてもイゼルローン要塞核融合炉は、上記の理屈なら億MW単位の出力が必要となります。砲撃間隔は短く(分単位)で何度も発射できますから、専用の核融合炉があってもおかしくありません。、それでも戦艦に搭載されるものよりも大型の核融合炉だと想像できます。

 参考までに現在の国内最大の原子力発電所の原子炉は大型1基で130万キロワットです。比較にならない規模ですね。(核分裂炉と核融合炉等の差はありますが)

 

 圧倒的な威力でイゼルローン要塞の「武力制圧」を不可能としたトゥールハンマー。億MW出力のビーム兵器は本当に凄いのか。それとも科学が発展して「やっぱりたいしたことない」となるのか。生きている間に判明して欲しいものです。

セリフで語る銀英伝-同盟相方編-

英伝の特徴である洒落た、或いはそれ以上の会話は互いの関係性を表すとともに、読者を楽しませる要素が多分にあります。特に自由の国の同盟では、個人的な会話であれば年齢、階級、立場に関係なくなされます。

 

「こいつは同盟No.2のパイロットだ」

「同盟No.1のパイロットは墓の下だよ」

相手を2番手と紹介しながら自分がNo.1だと暗に語る相手に、No.1は戦死したので自分が実質のNo.1で先に語った相手はそれ以下と返す。

友情?溢れる戦友の会話です。

 

「ブランデー、もう一杯いくか」

「いただきましょう」

被保護者のために身辺に配慮するようにできの悪い保護者を諭した先輩に、後輩がそのできの悪い保護者に被保護者を紹介したのは誰?と問うた後のやりとり。

口は悪くとも信頼しあっている先輩後輩です。

 

「娘が父親の罪をせおうこともなかろうしね」

「まったくだ~おれの娘だということで甘えることのないようにしてもらいたいな」

同盟軍を代表する不道徳の二大巨頭が、片方の隠し子(父親曰く知らないので隠していない)の件で、もう片方が止めを刺しに向かい、相手は受け止めるどころか余裕をもって反撃する。

思春期の娘の悩みをネタにやりあう不良達です。

 

「・・・人類の文明は酒とともに始まった。・・・酒は知性と感性の源泉であり・・・」

「今どき安酒場の宣伝文句でも、もう少し気の利いたことを書くんじゃないでしょうか」

暇になった要塞司令官がクリエィティブな活動を志して書き始めた論文めいたものの冒頭を、被保護者が酷評して。以降は「よく言って給料泥棒」の地位に甘んじる。

崇拝する一方で評価はきちんと下せる良い子と、才能が集中した保護者との温かい会話です。

 

育まれた関係が生み出した友情(一部?)溢れる会話もまた、銀英伝の味の一つです。

陰謀で彩られた銀英伝

 戦争が陽なら陰、表なら裏、メインディッシュならデザートと戦乱の世には欠かせないのが、陰謀・謀略です。

 銀英伝でも艦艇が打ち合う艦隊戦と同じくらい、数々の陰謀・謀略が実行されました。

 リップシュタット戦役では、ラインハルト陣営が軍の全権を掌握、貴族連合側の貴族の逮捕から始まり、離間策としてのオフレッサーの解放、ヴェスターラントの悲劇を利用した情報戦、そしてリヒデンラーデ公をローエングラム公爵暗殺未遂での逮捕。

 なんかほぼラインハルト陣営というかオーベルシュタイン参謀長の手腕で行われていますね。

 同時の同盟クーデターも、実は帝国の謀略で内乱介入への対策でした。

 第八次イゼルローン要塞攻防戦では、帝国の攻撃計画に並行してフェザーンから同盟へヤンの査問会開催の教唆があり、攻撃時に司令官不在の環境を作り出しました。

 そして帝国とフェザーン合作による、銀河帝国皇帝誘拐からの同盟での旧門閥貴族の政権樹立です。これは帝国から同盟への開戦理由を生み出すための謀略でした。

 単に大義名分を得るのに留まらず、帝国民に旧体制へ戻る危機感を抱かせて民衆・兵士からの支持を得てる策でした。

 なおラインハルト側の陰謀はだいたいオーベルシュタインが絡んでますが、実は同盟クーデターはラインハルトとキルヒアイスが仕切り、帝国誘拐はオーベルシュタインは途中から報告を受けて参画しています。あのオーベルシュタインでも全ての陰謀を一人で仕切っているわけではありません。(蜂蜜色の人が「やられてたまるか」と怒ったりしています)その色が濃くなるのは新王朝で軍務尚書の地位を得てからです。

 

 陰謀は艦隊戦よりもコストが安く、人的損失も比べるほど少なく、一方で効果は絶大だったりします。

 費用対効果であれば同盟クーデターは最高でしょう。裏切った元同盟軍人に計画を与えて送り出すだけです。人選と計画は重要ですが、人選については能力あり(リンチは少将で艦隊指揮官までなった)祖国愛が低い(妻は離婚、軍からも忌避)人材を矯正区から無事に探し当てました。計画は秘密保持のため、おそらくラインハルト自身が食後のデザート替わりに立てたのでしょう。最悪どの段階で失敗しても損失は無く、それでいて一定の段階まで到達した時点で目的(同盟を混乱させる)は達成というコストパフォーマンスは最高です。

 同様に皇帝誘拐もそうです。誘拐を見過ごすだけで負債(皇帝の存在)がチャラとなり、誘拐犯を詰るだけで侵攻の大義名分(旧体制の復活を許さない)を得るのです。

 こう考えるとラインハルトは商売人でも十分やっていけそうです。なんせ殺したい相手(皇帝や門閥貴族)にも必要であれば頭を下げることができるのですから。

 

 陰謀といえばオーベルシュタインですが、その主ラインハルトもまた謀略の手腕は負けず劣らずというのがよいですね。

銀河英雄伝説の経典(メディア)における差異について

 銀河英雄伝説は様々な方法(媒体)で今でも語られている(マルチメディア展開)のが特徴です。

 まず第一に原典である新書及び文庫化された小説版(原作)。版によって一部修正されてますがこれが基本となります。

 次にウィークリーOVAとして1988年から2000年にリリースされたアニメ版(旧アニメ)と同じ監督の劇場版アニメ。

 同じアニメで2018年から始まったDie Neue These(新アニメ)は、脚本や演出に大幅な変更があり新たな銀英伝としての立ち位置です。

 漫画版は道原かつみ氏のもの(道原版)と、藤崎竜氏のもの(藤崎版)があり、それぞれオリジナルのアレンジがされています。

 

 まず旧アニメですが、一部エピソードの時系列変更はありましたが、原作の流れはそのままに、また登場人物のセリフもほぼそのままでした。特筆すべきはクラッシク音楽を多用することで原作の雰囲気をより醸し出すことに成功しました。

 また戦闘描写を映像化することで、それまで各位の想像力にまかせていた作戦内容や戦闘状況をリアルに把握することがきます。艦隊戦の推移を視覚化した功績は大きいです。

 

 同じアニメでもDie Neue Theseは、艦隊戦がそれまでの整然とした艦列ではなく、艦種を統一せずに展開、艦艇同士はシステムリンクされている設定です。特に艦隊突撃時の混戦やすれ違いざまの砲撃の応酬などがダイナミズムな表現をされています。

 また各登場人物が時代に合わせてか若めで表現されていたりします。そのほかに旧アニメがナレーションにより地の文の想いや考えを表現したのに対して、新アニメは各人物が直接口にします。

美しいフルCGの艦艇、要塞による戦闘映像は十分に楽しめるものです。

 

 漫画においては道原版は一部の変更(ルビンスカヤやアルテミスの首飾りの流出等)はありますが、本筋を基本としています。「野暮ったさ」を持つ旧アニメとは異なり、原作をSFチックに表現した作品で、話もテンポよく進みます。

 1986年漫画原作の外伝「黄金の翼」から始まり、その後の1988年開始の本編は原作2巻までで休載、その後の原作4巻までで未完となっております。

 

 原作準拠と大胆なアレンジとなったのが藤崎版です。ラインハルトの幼少期から幼年学校を経て卒業までをオリジナルで、初陣からは外伝とそのアレンジで描き進めました。本編でもオリジナルエピソードや改変を入れつつ、2015年から始まった連載は、既に原作8巻分まで進んでいます。

 艦艇や要塞の基本デザインは旧アニメを踏襲していますが、要塞指令室や武器、コクピットデザインなどは藤崎氏の感性で描かれております。

 

簡単にまとめるとこんな感じでしょうか。

媒体    忠実度 ビジュアル ボリューム       方向性

旧アニメ  高   普通    本編110話外伝52話    原作をアニメ再現
新アニメ  低   CG美      作成中(原作4巻48話)  新たな解釈とCG
道原版   中   あっさり  本編15巻外伝1巻(休載) 原作をSF感で表現
藤崎版   低   美     連載中(既刊29巻)   フジリュー

 

このほかにオーディオブックや舞台もあり、全て網羅できている人はいるのか?(いるでしょうが)というぐらいの広がりがあります。

どれから入るかは人それぞれ。一気見もつまみ食いも楽しみ方があるので、まだの方はぜひ試してみてください。

老兵達の引き際、静かに消え去った二人の元帥

帝国のベテランといえばメルカッツ提督、同盟の宿将といえばビュコック提督ですが、この二人とは違った意味での老将がいます。

一人はラインハルトの前の代の帝国軍宇宙艦隊司令長官グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥、もう一人は同盟軍参謀本部本部長のシドニー・シトレ元帥です。

 

ミュッケンベルガー元帥はラインハルトが軍に入ったときからその地位にいた高級軍人で、伯爵の地位をもつ貴族でもあります。

軍歴も長く経験も豊富ですが、何よりラインハルトの台頭に対して最初は寵姫の弟、ある程度で将器を認め、最後は大人しく勇退し地位を明け渡しました。その後の帝国の内乱には加わわらず、帝国の武官の本分を全うしての退場でした。
リップシュタット連合に参加せずにいたため、新王朝でもミュッケンベルガー家は存続したでしょうから、家名は守り切ったと考えられます。

ラインハルトは彼を無能扱いしていました。意義も意味も見いだせない戦いを繰り返し、同盟を制圧できなかったのですから。

一方で司令長官としての職責に耐えられる能力はあったはずで、軍務尚書や統帥本部総長らとともに帝国軍三長官として軍を支えていたのです。

 

シトレ元帥は士官学校出のエリートですが、能力があり視野も広く、軍事力を道具として、戦争を外交の一環として捉えることができる優秀な人物でした。
引責退役後は故郷で農家となり影響力や政治力を行使せずにいました。唯一、同盟でのクーデータ事件で鎮圧に回ったヤンを支持する声明を発表したぐらいです。

もしラグナロック作戦時に本部長として軍に留まっていたのなら、その前に同盟侵攻などなければ、とIFを考えてしまいます。

一方で政府の問題は深刻な状況であったことは変らず、失脚か逆に政界に討ってでるかの選択を迫られたかもしれません。

 

二人とも自分の役割を終えると完全に引退しまい、ミュッケンベルガー元帥は物語から消え、シトレ元帥も時折顔を見せるものの、主要人物ではありませんでした。

最後まで戦い、戦死したメルカッツ提督やビュコック提督とは違う、「老兵は死なず、消え去るのみ」を体現した二人でした。

国力で見る帝国と同盟(あとフェザーン)

敵対する銀河帝国自由惑星同盟の国力を比較すると下記となります。

  • 人口 帝国 250億 対 同盟 130億 (フェザーン 20億)
  • 国力 帝国 48 同盟 40 (フェザーン 12) 合計を100として換算
  • 国家予算 帝国 不明 対 同盟3兆7,000億ディナール

帝国は人民を搾取する非効率的国家であるため、経済成長を促す要因が少なく停滞しています。

同盟は成長基盤はあるものの、帝国との150年に及ぶ戦争で様々な資源を消費して停滞。一方で身分制度のない同盟は人材の集積という意味では帝国よりも優位です。社会の効率化や富の再分配のおかげで、人口差ほど経済力に差が無かったと推察されます。

フェザーンは両方の富を上手く掠め取ることで成長の結果です。人口20億で上記の国力は、一人当たりの経済力はずば抜けております。ただ経済的盛況も帝国同盟の唯一の交易路の中継点に位置するという特殊性にありました。

 

軍事に絞ると下記となります。

  • 艦隊 帝国 18個艦隊 対 同盟 12個艦隊 各宇宙艦隊司令部配下の艦隊
  • 総兵力 帝国 最低でも7,500万 対 同盟 5,000万
  • 軍事予算 帝国 不明 対 同盟 1兆8,000億ディナール

帝国は宇宙艦隊18個艦隊に加えて貴族の私兵がおり、リップシュタット同盟軍は艦艇15万、総兵力2,560万とあったので、総兵力数で同盟は不利でした。

同盟は戦時体制国家のため、社会のリソースを防衛戦力に注ぐことで人口の差を補っています。反面末期は軍に人が取られ過ぎて社会基盤がぜい弱となりました。

フェザーンは経済に全振りしているため武力は0。奇襲とはいえミッターマイヤーの1個艦隊2万で簡単に占領され、その後は帝国に飲み込まれてしまいました。

 

他の軍事指標として下記がありますが、情報は豊かではありません。

  • 要塞 帝国 最低4基 対 同盟 無し(大型迎撃衛星12基-アルテミスの首飾り)
  • 軍事基地 帝国 総数不明 対 同盟 総数不明(補給基地は84ヶ所)
  • その他宇宙空間戦闘力 帝国 合計10万隻 対 同盟 合計3.5万隻

帝国は身分制度がある集権国家で抑圧の機構としての軍隊を持つため、要塞等の建造は一部の意思決定により可能で、支配目的にも合致します。そのためイゼルローン要塞を筆頭に複数の要塞を保有しています。

同盟がアルテミスの首飾り以外に強力な軍事ハードウェアを持たなかったのは、莫大な費用がかかる星系軌道上の軍事要塞の建設は、民意が許さなかったと考えられます。

なおその他の戦闘力は主力艦隊に含まれない小艦隊、星系警備隊の艦艇の総数です。

 

その他に保有星系数や星系単位の経済力、民間企業の規模などが判れば良いのですが情報がありません。

人口が判明している可住惑星は下記のとおりです。

帝国領

同盟領

  • バーラト星系 首都星 ハイネセン 人口10億人
  • 惑星エル・ファシル 人口300万人
  • ガンダルヴァ星域 惑星ウルヴァシー 人口10万人

フェザーン

登場する企業は更に少ないです。

帝国

  • 企業名無し ただしホテルやビール会社がフェザーン資本である描写あり
  • 経済活動 帝国の事業にフェザーンのダミー会社が資本参加している

同盟

  • ランタクルス・ライン社 同盟最大級の恒星間輸送企業
  • 国営投資会社 文字通り国営の投資会社

フェザーン

 

帝国と同盟は150年間戦いで、繰り返し帝国から同盟への侵攻が行われました。イゼルローン要塞ができてからは戦略目標として同盟側から攻略を目指しました。

一回の会戦や攻略戦で、数万隻の艦艇が破壊され百万単位で戦死者がでる。それも軍は青年・壮年層の男性が兵役の対象となるため、社会的損失は大きく、双方の国の発展を阻害したと考えられます。

 

僅かな情報ですが、国力についてまとめてみました。

セリフで語る銀英伝-使ってみたい編-

名台詞もあれば迷台詞もあるのが銀河英雄伝説ですが、日々の生活に使えるかは別にして、言ってみたいものもあれば機会があれば使いたいものもあります。

 

策士で陰謀家のルビンスキー。どんなに痛い所を突かれても余裕をもって答えるのが大物感を醸し出します。

「私に関してはその通り」

実際に言ったわけではないが、謀略の犯人とされた際に彼ならこう答えるだろうとの指摘で。

「人間は自分よりレベルの低い人間は理解できる」

愛人のドミニクに皮肉交じりの指摘を受けて。

 

皮肉屋でキザが似合う男シェーンコップは、常に余裕を持ちで戦闘でも口でも負けなしの男です。

「何も悪いことした事ないやつに30歳になって欲しくないね」

アッテンボロー提督が30歳を迎えようとした年に、シェーンコップを引合いに出して不条理だと文句を言った時に。

「安んじておまかせあれ」

第10次イゼルローン要塞攻防戦でメルカッツから要塞攻略の実戦指揮を命じられた余裕の敬礼時に。

 

褒める時は大きな声で、悪口を言う時はより大きな声でが家訓のビッテンフェルト。

「口は重宝だな。親を売るのも友人を裏切るのも、理由をつけようはあるものだ」

フェザーン弁務官ボルテックが帝国に与すると判った時に。

「奴と同行して天上に行くことにでもなったら、おれは奴をワルキューレの車から突き落としてやるからな」

軍務尚書オーベルシュタイン元帥に同行してハイネセンに降り立った時に、前を歩く本人に向かって。

 

他の提督の個性と比べると少し地味でも有能なルッツ。結構大胆な発言もありやはり若くして艦隊提督、上級大将にまでなった男です。

あのオーベルシュタインよりはやく死んでたまるか。おれは奴の葬儀のときに、心にもない弔事を読んで心の中で舌を出してやる

爆破事件で無事だったルッツが病院で見舞いに来たワーレンに語った時に。

「せっかくの機会だぞ。ローエングラム王朝の上級大将が、どのような死にかたをするか、卿らが死ぬにせよ、生き残るにせよ、見とどけていったらどうだ?」

惑星ウルヴァシーで皇帝襲撃犯達に囲まれ銃撃戦を展開しながら彼らに放った言葉。

 

有能すぎる軍務官僚のキャゼルヌは、皮肉な口調が特徴で毒舌を吐きます。

「あの男の下品な煽動演説を長々と拝聴しなければならないのは、徹夜以上の苦痛だが」

アスター戦没者慰霊祭での同盟政府最高評議会議長の演説を揶揄して。

「独身生活10年でさとりえぬことが、一週間の結婚生活でさとれるものさ。よき哲学者の誕生を期待しよう」

後輩であり元上官で戦友のヤンの結婚式で毒舌ぞろいのメンバー達と唱和して。

 

なお、これ全部を使うと、友人を無くすか性格破綻者と間違われるので用法はよく考えて正しくお使いください。