少年時代のラインハルトは、初対面のキルヒアイスに「名は俗っぽいけど姓は良いからそっちで呼ぶよ」とか、街のガキ大将との喧嘩で石を掴んで殴り倒すとか尊大で凶暴な貴族の子でした。
一方で頭脳明晰で身体能力は高く、幼年学校で三年間首席という優秀さです。姉アンネローゼの件がなくとも、どこでもどんな組織でも頭角を現したであろう天才少年でもあります。
象徴的なのが絶対的存在である銀河帝国初代皇帝ルドルフの銅像を前にして、「ルドルフにできたことが俺にできないと思うか」と言い放ったエピソードです。
そのプライドは軌道エレベーターよりも高く、敗北のうえ敵に情けをかけられるぐらいなら死を選ぶタイプです。
ただ自分に対する嘲りや軽視も当然屈辱に感じますが、目的のために我慢することも頭を下げることもやります。一番望まない感情は自分に対する哀れみであり、「可哀そう」などの言葉は姉以外の口から聞けば激怒するでしょう。
それすらも姉君に対する誹謗中傷に比べれば、比較になりませんが。ラインハルトを激昂させた「皇帝たぶらかした」発言のオフレッサー上級大将は、非業の死を遂げました。
ここまでなら敵役に適任なタイプですが、心優しい面があるのも特徴です。
自身が皇帝となり宮殿の人員整理を実施した時は、若い者中心で解雇しました。これは年老いた者は新たな職や環境の変化に対応できない可能性があるとの配慮でした。
また自らの謀略で部下が死ぬと判るとためらい、避けられなければ残された家族へ配慮は明言するほどです。
戦いを求めて敵を討ち味方を死なせることを当然とする皇帝気質と、部下や弱き者への強権の行使を躊躇する少年気質が同居しているのが、ラインハルトの特徴となります。なおライバルであるヤンとは異なり、ラインハルトは矛盾を感じておらず、これもまた凡人ではないことの証明かもしれません。
天才であるゆえに少年のまま大人になったラインハルトは、若くして世を去ります。もし生きて年を重ねたのならと想像してみましょう。
個人的には銀河系の未踏破地域の開拓を国策とし、専制体制は1代限りとして議会制へと移行、自身は子に帝位を譲って退位、壮年となり別銀河探索船団を率いてマゼラン銀河を目指す旅にでるのでは考えます。
もちろん医師団の団長エミールを伴っているのは当然として、退役して議会議員になっていたビッテンフェルトが計画を聞きつけて議員を辞職、護衛艦隊を率いていたりしますがそれはまた別の話です。
老いては麒麟も駄馬となる。そんな言葉に当てはまって欲しくない。そんな気持ちも入ったIFではありますが、無いとも言い切れない話ではないでしょうか。