2023-01-01から1年間の記事一覧

第9次イゼルローン要塞攻防戦に置ける同盟と帝国の駆け引き

ロイエンタールとヤンが相対した第9次イゼルローン要塞攻防戦は、帝国のラグナロック作戦の一環として行われました。帝国はフェザーン方面への主力の侵攻をカモフラージュするため、陽動ではありますがイゼルローン方面に三万以上の大兵力を投入しました。こ…

銀河を駆ける船の速度について

現在の人類最速は人口惑星ヘリオス2の時速252,792km、秒速70.22kmです。これが千年以上未来の世界では、宇宙空間を自由に航行し、ワープを使えば数千光年の移動が可能となります。 しかしあまり詳しい数値は無く、ワープも40Cと表記されるだけで具体的な跳…

無能に見えた提督達は本当に無能だったのか

やられ役となった代表的な人物はアスターテ会戦の第四艦隊パストーレ中将、第六艦隊ムーア中将、生き延びたもののヤンの引き立て役となった第二艦隊パエッタ中将が有名です。二倍の戦力でラインハルトに完敗寸前まで追い詰められました。 では本当に無能かと…

異色の軍人アレックス・キャゼルヌ閣下の才能について

ヤン・ファミリーには個性的な軍人が数多くいます。艦隊指揮は名人、戦闘指揮は凡人のエドウィン・フィッシャー提督。昼の空戦と夜の格闘戦で名をはせた撃墜王ポプラン。若くして提督になり将器と勇気を兼ね備えたジャーナリスト志望のダスティン・アッテン…

裏方的な地味な仕事の重要性 補給と後方支援は大事です

派手な突撃よりも、目立つ逆転劇よりも、威力絶大な要塞砲よりも、目立たぬ補給や後方支援が大事だと語り続けた銀河英雄伝説。補給や後方の問題が戦局に影響を与えるという、ごく当たり前の事象を普通に描いているのも特徴といえます。 実際にラインハルトも…

銀河流暗殺の流儀

艦隊戦に白兵戦、権力闘争に権謀術数と、銀英伝には様々な戦いがあります。国家間抗争もあれば国内内戦、さらには個人的な決闘まで戦いの連続でした。 その中で弱者の戦術、もしくは貴族の嗜みとして利用されたのが暗殺。中でも作中で最も暗殺の対象となった…

呼吸する軍事博物館-老将ビュコック提督の生き方と死に様について-

アレクサンドル・ビュコック元帥は軍務歴55年越えといえば作中でも一番長く、主要キャラではメルカッツ提督をも超える戦歴を持ちます。特にメルカッツ提督が貴族出身で士官からスタートしたことを考えれば、二等兵から始まり元帥まで上り詰め、宇宙艦隊司令…

カール・グスタフ・ケンプに関する誤解

カール・グスタフ・ケンプ提督は撃墜王で名をはせ、その後は戦艦の艦長になり大佐、ラインハルト元帥府開設時に中将で艦隊提督として名を連ねます。若手が多い元帥府ではケンプは年長者ですが、30代の提督なので十分優秀で若手の将官です。ラインハルトが招…

ヤン・ウェンリーという虚構と誤解 その2

ヤン・ウェンリーが作中で誤解されていた点については過去に記載しましたが、作外、つまり読者にも勘違いされている場合があります。 ヤンが民間人を保護に尽くした点や日頃から戦争に否定的な言動から、ヤンが人道に重きをおき、人命を尊重する人物だと認識…

お金に関する銀河英雄伝説 その2

お金に関する記述が余り多くなく、そもそも帝国の帝国マルクと同盟のディナールの交換レートも不明。なので少し考えてみました。 ユリアンが駐在武官としてフェザーンに赴いた時に、現地調査として裏通りの衣料店で購入したセーターは90フェザーン・マルクで…

ジョアン・レベロ氏の生き方と死に方

自由惑星同盟の政治家で、同盟政府最後の最高評議会議長であるジョアン・レベロは、潔癖であるがゆえに晩節を不本意なかたちで過ごし暗殺された悲劇の政治家です。 財務委員長を務めた経歴からも財務・財政に強く、その視点から同盟が困窮のふちにいると知っ…

自由惑星同盟の軍需とその他について

自由惑星同盟は対帝国の戦時体制国家として百年に渡り戦争を続けてきました。そのため経済の一部は軍需によって成り立っています。 まず同盟軍5,000万の兵力の付随する必需品は膨大な量になります。また艦船数十万隻と同盟内にある70ヶ所の基地の維持にかか…

マリーンドルフ伯に対する誤解或いは見誤りについて

フランツ・フォン・マリーンドルフ伯爵といえば、物語の初期から終盤まで登場する人物である一方で、特徴といえば「温厚」「誠実」「ヒルダの父親」と、才幹で目立つことなく人畜無害な存在と作中でも言われています。 無論、この見方が間違いであるのは作中…