セリフで語る銀英伝-帝国友人編-

英伝の特徴である意味深な、或いはそれ以上の会話は互いの関係性を表すとともに、読者に両者の絆を知らしめる要素があります。

 

「なんのことだ。まるで覚えていない」

「・・・・・・ふん、そうか、それならいい」

酔った勢いで告白した心の傷を、聞いたはずの相手が覚えてないフリをする。プライドの高い友人への不器用な配慮があり、片割れはその好意に感謝しつつ素っ気なく済ませます。

長年戦場を共にした双璧ならではの会話です。

 

・・・・・・おれは宇宙を手に入れることができると思うか?」

「ラインハルトさま以外の何物に、それがかないましょう」

自分の怒りを失敗した部下に向けたことをとばっちりだと諫められたあと、諫言した腹心の友に問うた言葉とその返答です。高見を目指す金髪の友とその達成を信じて支える赤毛の友。

幼少期から青年期を共に過ごし苦難を歩んだ二人だけの会話です。

 

「おれが残って奴らを防ぐ」

「ばかなことをおっしゃるな」

「ばかはないだろう。年長者の責任をはたすだけのことだ」

「卿には婚約者がおありだ。身軽な私のほうこそ残ります。」

「卿には卿にしかはたしえぬ責任をはたせ。それ以上、形式論を聞かせてくれるなよ。そんなことをしたら、謝礼として左腕を撃ちぬいてくれるからな」

皇帝を守り逃亡する中で、追っ手を防ぐため一人残ろうとする者とそれを止める者。二人は同格ですが、残る方は年長者としてまた右腕を負傷した僚友を庇い、危険な任務を買ってでます。

戦友の思いと覚悟を知り、互いにそれぞれを託す二人の会話です。

 

十年来の友人、幼き頃からの親友、戦火を共にした戦友達の心の結びつきは様々です。原作では比較的地の文があっさりしているぶん、二人の性格と関係性が判る会話が思いのほか情緒的であるのも銀英伝の特徴ですね。