難攻不落の要塞って、基本正面で無く潜入からの破壊や味方を招き入れるとかが鉄板なので、歴史好きのヤンがちょっと真似してみたのがこの作戦。
偶然の勝利。はい、そうです。駐留艦隊の出撃、偽装部隊の侵入、敵中枢への侵入、敵将の降伏等々、博打だらけの作戦でした。
ヤンも「失敗したら本部長と自分が恥をかくだけ。」と言っているので、成功率はそれほど高くない。ハッキリ言って低い。
でも、それまでの遺族製造作戦よりもコストメリット大、ローリスク、ハイリターンの作戦で、後年も同様の低コスト作戦で再奪還しているのでこの手の作戦の有効性は実証済み。じゃあ、みんなやれば良いかというと。
「駐留艦隊が出撃しなかったらどうする。」
「帰ります。」
「擬装部隊が見破られたらどうする。」
「帰ります。」
「敵中枢へ行けなかったら。」
「隠れて、待ってます。駄目なら帰ります。」
「敵将が降伏しなかったら。」
以下略
うん、絶対に許可されないよこれ。
作戦案を提示したヤンも無茶だけど、許可した本部長も相当無茶。従った部下達の軍規の高さはむしろ称賛に値する。
国防委員長が本部長はとち狂ったと思い、フェザーンの黒狐が成功するとは思わなかったのも当然。
もしこれが失敗していたら次は破壊を目的とした作戦に代わり、拠点攻略用の大規模砲が開発され移送中の同盟守備艦隊と帝国軍の間で戦いが繰り広げられるという流れになるかも。
もしくはラインハルトの帝国掌握からラグナロック発動、フェザーン回廊とイゼルローン回廊からの侵攻に同盟が総力を挙げて対応しての大規模衝突で、勝利の行方は如何に?かも。
まあ無茶したおかげで、他人がもっと無茶して、結果無茶苦茶になったとなれば、ヤンが最後まで文句を言いながらも戦い続けたのは、本人の意図とは真逆の同盟滅亡の引き金となったと、密かに責任を感じていたのかもしれません。