疾風ウォルフ。帝国の双璧とまで言われ、平民ながら帝国元帥まで上り詰めたウォルフガング・ミッターマイヤーは、公明正大な人格者であり、帝国兵から人気高く、部下からは慕われ、上司からの信頼篤い人物です。
しかしながら激怒が死に直結するほどの感情的な人物でもあります。
技術顧問として参加したクロプシュトック事件では、門閥貴族の縁者を大貴族の名前をものともせず、むしろそれ故に軍規にもとづき銃殺しています。それも相手に銃を抜く権利を与えて先に撃たすという危険な行為まで冒してです。
次に門閥貴族との戦いでは、ガイエスブルク要塞から敵を誘き出すためミッターマイヤーが偽装した退却を見抜けずに罠にはまった貴族の子弟達を、彼は馬鹿息子と罵りながら殲滅しました。
またラグナロク作戦でフェザーンを奇襲・占領した際に、婦女暴行を犯した兵士を全て銃殺の刑の処しています。事前に「俺に二言があると思うな」と釘を刺していますが、言葉通りに容赦ありませんでした。
ロイエンタールが反逆者として扱われた時も、彼を追い込んだハインリッヒ・ラングを完全に私情で始末しようとします。ケスラーが止めて事なきを得ましたが、「生前の役職に意味は無い」と言い切っているあたり殺意があったのは明白です。
このようにミッターマイヤーは、他の提督達と比べると戦闘中以外での血なまぐさい行為が目立ちます。他にはロイエンタールがトリューニヒトを射殺したぐらいでしょうか。ルッツの銃撃戦やシェーンコップの市街戦は相手に対しての感情は薄く、あくまで目的ある戦闘ですが、ミッターマイヤーは明らかに私情が入っています。
ラングなど本気で殴り殺すつもりであったかもしれません。
ただ考えるに、帝国の三元帥はそれぞれラインハルトの持つ激情と公平さ、思慮と反逆心、冷酷さと無私のそれぞれを体現しているのではないでしょうか。そのため三元帥の行動は色々あっても彼の思考に沿う事が多く、ラインハルトも是としていたのではないでしょうか。
実は一、二位を争う激情家でありながら良識人として知られるミッターマイヤー。彼もまた乱世の人であった、そう思わるエピソードを持つキャラクターでした。