疾風ウォルフの戦術について

作中で最速の用兵家として知られるウォルフガング・ミッターマイヤー提督は、艦隊を迅速に動かすことで数々の殊勲を得ました。
これは戦場への艦隊移動と戦場での機動戦術の両方で発揮されています。

しかし実際にどのように運用しているかは原作では不明です。

そのためかゲームでは「高速戦艦」という機動力重視(防御力低め)の艦種が創作され、疾風を表現する方法が取られました。またマンガ版でもこれを採用されたりもしています。
別のマンガ版では積荷(主に弾薬)を減らし船を軽くして機関の出力を高め、機動力を上げる方法が採られてしました。

当然ながら平民出のミッターマイヤーのために高速戦艦が開発されたり優先して供給されるわけはなく、また物資が少なく継戦能力が低い艦隊は使い勝手が悪いので認められるわけもありません。一個艦隊の司令官ができるのは色を黒くするぐらいではないでしょうか。

ではなぜミッターマイヤー艦隊が疾風であったのか。

  • ミッターマイヤーの決断の速さ
    何事にも明快な男は戦場でも判断が早く、常に艦隊が迅速に動く。
  • 艦隊行動において迅速に動くように日頃からの訓練
    他の艦隊よりも機動力を重視のメニューで訓練を行っている。
  • 旗艦も常に全速
    艦隊旗艦のベイオウルフはもちろん、分艦隊旗艦クラスも常日頃から高速移動を心掛け、艦隊の行動速度を意識的に早めている。

つまり中級指揮官のバイエルラインやドロイゼンはミッターマイヤーの指揮についていける用兵家で、バイエルラインをミッターマイヤーが手放さない理由の一つだと推察されます。

なおバイエルラインは敗退する場面が何度かありますが、相手がヤンやロイエンタールの場合です。彼らの直接指揮による攻勢でよく生き残れた彼は、優秀であると言えるのではないでしょうか。

ちなみに速攻ではヤン艦隊も引けをとらず、アムリッツアのミッターマイヤー艦隊に対する初撃や最後の包囲網の突破、バーミリオンでの小惑星帯からの突撃、回廊の戦いで帝国総旗艦ブリュンヒルトに迫る速攻など、艦隊の戦闘隊形を維持したまま高速で移動する場面が何度もあります。
これはヤンによる絶妙な指揮とフィッシャーによる艦隊運用があって初めて生まれるもので、特にバーミリオンでは高速移動しつつも縦列から変形凹形陣へ艦隊運動できる余裕を持たせた神業を披露しています。

そしてミッターマイヤー。彼はヤンとフィッシャーの共同作業と同程度の高速機動を一人で実施しているのです。ヤンがミッターマイヤーを評価するのはフィッシャーと常に打ち合わせている中で、高速での艦隊機動や艦隊航行の難しさを理解しているからだと考えます。

特別な艦種や準備をしなくとも、群を抜いた高速な艦隊運用は可能だと考えます。ただし、魔術師と名人の共同作業レベルを実現できるのは、やはりミッターマイヤーしかいない、疾風ウォルフの名は伊達ではないということでしょうか。